ニコ☆プチ

2022.07.03

学校

【教科書ができるまで◯年かかる?!】教科書制作のウラ側を聞いてきた!

みんなが必ず持っている本といえば、教科書。

ふだん何気なく使っている教科書は、一体どれくらいの時間をかけて、どれだけの人たちが協力して作られているのかな? 今回は教科書制作のウラ側を聞くため、教科書会社の編集さんに取材したよ! 


① 教科書は何年くらいで、誰が、どうやって作っているの?


――ずばり、教科書はどのくらいの時間をかけて作っているのですか?

「企画が始まって、みなさんの手にとどく形になるまで約4年かかります。最初の1年でどんな教科書を作るか考え、2年目で制作、3年目は内容のチェック、4年目は最終調整をしています」

――4年もかかるんですか!? 3年目のチェックが気になります。なぜ1年間も?

「文部科学省という国の機関に、内容をチェックしてもらうんです。その教科で学ばなければならないことがちゃんと入っているか、間違った情報が入っていないかなどを1年かけて見てもらいます。

このチェックを経てできたものが、みなさんの手元にとどきます」

――チェックだけですごく手間がかかっているのですね。教科書は何人くらいで作っているのですか?

「原稿を書く人やイラストを描く人、紙面を作る人など関わっている人をすべて数えたら数十名以上になります。大学で教えている各教科の専門家や、学校の先生にも協力してもらっているんですよ。

実際に子どもたちに教えている先生からのアドバイスをもらうことで、より使いやすい教科書になるようにしています。もしかしたら、みなさんの学校にも教科書づくりに協力している先生がいるかもしれません」

――たくさんの大人が力を合わせて教科書を作っているんですね。具体的にはどんなふうに作られているのですか?

「大まかにいうと、次のような手順で作っています。
※色は1年ごとの作業内容を区切っているよ。

① 編集会議をする。
② 原稿を書いてもらう(ふたたび編集会議を開き、原稿を検討する)。
③ 紙面のレイアウトをする。
④ 内容に合わせたイラストを描いてもらったり、写真を撮ったりする。
⑤ 印刷して、文部科学省に内容をチェック(検定)してもらう。
⑥ チェックが入った場所があれば修正し、仕上げをする。
⑦ 印刷会社に印刷してもらい、完成。

教科書は社会問題や話題のテーマなど新しい情報を入れて、みんなが興味をもって勉強できるようにしています。その内容が本当にふさわしいかどうかを最後まで確認しながら作っているため、締め切りのギリギリまでかかることも多いです」

②教科書にのせることって誰が決めているの?

――そもそも、教科書にのせることは誰が決めているのですか?

「『その教科で何を学ぶか』は国で決められています。私たちは、『どんなふうに学ぶ教科書にするか』を、アイデアを出し合って決めています。

知識を暗記するだけで終わらせず,学んだことを生活の中で役立てることができる力を育てることが重視されています。他の教科で学ぶことや学校行事など,みなさんの生活からヒントをさがしています。たとえば英語だったら,夏休みの後にみんなで「夏休みの思い出」を伝え合う活動を設定する、というような感じです」

――教科書には現代の社会問題なども入っていますよね。これはどうやって決めているのですか?

「教科書は一度作ると4年間使われるのですが、最後の4年目の子どもたちが使うときにも通じる内容でなければなりません。ですから、教科書に入れる話題はしんちょうにえらびます。

多くの子どもたちが知っている話題かどうかも大事です。知っていることと絡めて深く学べると、きょうみが出てくることもありますよね。難しすぎず、でもくわしい情報も入れる、というバランスが重要なんです」

③私たちが気づいていない、教科書のルールやこだわりは?

――そのほか、私たちが気づかないようなポイントやこだわりはありますか?

「教科書には、みなさんと同い年くらいの子どもの絵がありますよね。この子たちには実はたくさんのポイントがあるんですよ」

――え、イラストに?

「そうなんです。まず、男女の数はなるべく平等にします。男の子ばかり出てくる、女の子しかいないということがないようにします。

それから服装や髪型。『女の子だから髪が長くてピンクのスカート』ということがないように注意します。青が好きな女の子や、ピンクが好きな男の子、ショートカットの女の子など、本当のクラスのようにいろんな子どもがいるようにしています。

また、最近は海外にルーツをもつ子どもも増えているので、登場人物は日本人だけにならないようにしています」

――そんな細かなところまで! そのほかはいかがですか?

「教科書で紹介する地域にかたよりが出ないようにしたり、他の教科の学習内容をチェックして,やさしすぎないか,難しすぎないかなども考えたりしています。たとえば,小学校の場合は,国語で学習する漢字に合わせて文字をひらがなにするか漢字にするか,その漢字にルビを付けるかどうかなどを決めています。

ほかにも算数で割合を学習する前にはパーセントを使わないようにするなど,みんながつまづかないように,学びやすくなるように気をつけています」

――子どもたちが楽しく、でもしっかりと学べる工夫がたくさんなんですね!


教科書は、みんなが楽しく学べる工夫がぎっしり詰まった一番身近な本。

授業以外の時間にも読んでみると、思わぬ発見やおもしろポイントがみつかるかも? 自分の教科書を開いてみてね♡

参考URL
教科書(文部科学省)
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kyoukasho/main3_a2.htm

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Text/Yoko Masaki

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