ニコ☆プチ

2025.11.29

映画

板垣李光人と“絆”のハナシ★<絆を感じる“俳優仲間”とは?>映画『ペリリュー −楽園のゲルニカ−』で自身2度目の声優に挑戦!



終戦80年という節目に、“自分”ができること



——新たな戦争マンガの金字塔とも呼ばれる原作『ペリリュー -楽園のゲルニカ-』。功績係の田丸 均(ひとし)を演じることが決まった時の心境は?

「終戦80年という節目の年に、こういう作品へ携われるということは、ありがたい機会だと思っています。というのも、自分が小学生や中高生のころは、<戦争>を教科書で見るもの……どこかフィクションとしてとらえていたんです。それが、ここ数年で急激に身近になってきたというか。日本ではない、別の国での争いや惨事を報道で目にするたび、近くに迫ってきているような気がして、すごく、怖くて。そんな中で、現実的に自分ができること……役者、表現者として何か届けられることを考えていたタイミングでいただいたお話だったので、巡り合わせというか。いい機会だと感じました」



五感で感じることで補えました

——作品の舞台・ペリリュー島を実際におとずれて感じたことは?

「僕が声優をつとめるのは、今作で2回目。ふだん俳優として演じているときは、ロケーションがあって、衣装を着て、ヘアメイクをして、そこでようやく、その役として芝居ができる環境が整います。実写の作品を演じている僕にとって、マイクとモニターだけに向き合うアフレコとなると、やっぱりすごくむずかしいんです。でも、実さいにペリリュー島へ行ったことで、資料の写真だけでは得られないことを五感で感じられました。防空壕(ぼうくうごう)の中に入ると、ガラスビンの破片など、生活していたあとがそのまま残っていたし、カニを見つけたりして。当時はご飯がない中なので、このカニを見つけたらものすごいお祭り騒ぎだったんだろうな、と考えをめぐらせたり。自分が歩く感覚や気温・生き物・音を実さいに感じることができたからこそ、イレギュラーな環境の中、足りていない部分を補いやすかったのかなと思います」

あいさつをしないまま作品へ入ることが、嫌なんです

——実さいの歴史にもとづいた作品や人物を演じるとき、大切にしていることはありますか?

「自己満足でもありますが、事前にお墓へ行って、あいさつをするということ。そうしないとなんか、気持ち悪いというか……。だって、嫌じゃないですか。共演者の方でも、まったく名乗らず、あいさつもせず、現場が始まる、とか。すごくソワソワ、ムズムズするんです。それと同じ感覚、です。今回ペリリュー島へ行ったこともそうですけど、自分の中の礼儀を大切にしようと思っています」



僕が演じやすくなるよう、音響監督へ提案してくださいました

——田丸の戦友・吉敷(よしき)を演じた、中村倫也さんとのアフレコどうでしたか?

「一日だけご一緒できたのですが、ただただ尊敬というか。自分は“慣れ”が必要だなぁと思っている状態だったので、羨望(せんぼう)の眼差しを送っていました。中村さんも、映像作品に出ている役者のことを分かってらっしゃるので、僕が演じやすくなるようなアフレコの進め方を、音響監督へ提案してくださいました。他のキャラクターの声はアフレコ前で、仮の声だから、テンションも変わるだろうということで、相手の音声部分を切って、アフレコしていたんです。でも、ふだん僕たちは、相手の役者の方がいて、生身でキャッチボールをしているので、“仮でもいいから、あった方がいいんじゃないですか”と言ってくださって。相手から投げかけられて、自分が返す、という形があるだけで全くちがったので、格段に演じやすくなりました。そういう部分で助けていただいたと思います」


田丸が戦友・吉敷(よしき)に抱く思いは、自分が家族や大切な人を思う気持ちと変わらない

——演じた田丸は板垣さんと同世代で、兵隊といっても、普通の人。どう、田丸と向き合いましたか?

「国のあり方・価値観・教育……当時は、今の時代と全く違うわけで。国のために死ぬということが誉(ほま)れとされている時代で、その時代の価値観というものは、土台としてあると思います。でも、そのうえで、生きているのは、自分と変わらない同じ人間。考え方はもちろん、人それぞれだとは思うんですけど。でもやっぱり、田丸が……自分の仕事に対する責任感や、戦いに抱く葛藤(かっとう)、大事な仲間である吉敷に対する思いとかは、今の自分と何ら、変わらないと思うんです。戦友に対して一つひとつ抱く思いも、今の自分が家族や大切な人を思う気持ちと変わらないと、感じました」

——功績係の田丸と板垣さんの共通点にイラストがあります。板垣さんがペリリュー島を描くとしたら?

「実さいに行ってみて、本当に海も空も、青くてきれいだったんです。あの美しさはそのまま残したいなって、思います」



Information

映画『ペリリュー -楽園のゲルニカ-』


太平洋戦争末期のペリリュー島、漫画家志望の兵士・田丸(板垣李光人)が任命されたのは亡くなった仲間の最期の勇姿を遺族に向けて書き記す「功績係」だった。同期ながら頼れる上等兵・吉敷(中村倫也)とともに、彼らが本当に見た世界とは? 自分の目で見て考える、どんな時代でもそれがきっと一番、大切なこと。
配給:東映 ©︎武田一義・白泉社/2025「ペリリュー -楽園のゲルニカ-」

PROFILE

板垣李光人(いたがき・りひと)



●2002年1月28日生まれ/AB型

★しゅみ:イラストを描くこと/板垣さんが描いた絵本「ボクのいろ」も発売中!!

<撮影こぼれ話♪>ニコ☆プチ編集部がさし入れのドリンクをわたすと「わぁ〜、きょうしゅくです」とひかえめに喜ぶ、相変わらずとってもすてきなりっひーだったのでした♡

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Photo/Noguchi Masahiro[KIND] Stylist/Inagaki Yuto Hair&Make/KATO(TRON)

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